牡蠣による食中毒の主たる原因はノロウイルスです。一般的な食中毒菌(サルモネラ属菌や黄色ブドウ球菌など)と異なり、ノロウイルスは熱に対する抵抗力が非常に強いという厄介な特徴を持っています。
厚生労働省の牡蠣加熱基準では、ノロウイルスを完全に不活化させる条件として「食品の中心部が85℃〜90℃の状態で90秒以上加熱すること」と明記されています。ここで極めて重要なのが「中心部」という点です。スープや油が沸騰していても、大粒の牡蠣の芯まで熱が到達するには物理的な時間を要します。外側が縮んで熱くなっているからと油断して引き上げると、内臓部分(中腸腺)にウイルスが残存し、激しい感染被害を招く原因となります。