針を何度も刺す場所に、なぜ硬い塊ができるのか。医療解説・皮膚科学の知見によれば、これは物理的な刺激と薬剤の化学的刺激が重複して引き起こす生体防御反応の一種とされる。特に継続的なインスリン注射を行っている患者の皮下組織では、脂肪細胞が肥大化・増殖する皮下脂質肥大(リポハイパートロフィー)と呼ばれる状態が生じやすい。
同じポイントへ繰り返し穿刺を行うと、微小な組織損傷が蓄積する。傷ついた組織を修復しようとコラーゲン線維が過剰に産生され、結果として局所的な皮膚硬結が形成される。触るとコリコリとした硬いしこりや、膨らんだ注射痕が残り、これが「タコ」のように感じられるメカニズムだ。