ネット上の掲示板やSNSでは「自衛隊は激務なのに薄給」「割に合わない」といった声が散見される一方、「金銭的にはこれほど恵まれた環境はない」という相反する意見が飛び交っています。実際のところはどうなのでしょうか。
取材に応じた30代の陸上自衛隊・2等陸曹(普通科部隊所属)は次のように語ります。
「独身で営内にいた20代前半は、毎月15万円以上を自動積立預金に回していても何不自由なく生活できました。外食や趣味にお金を使っても年間200万円近く貯まったのは事実です。ただし、結婚して営外(駐屯地外のアパートや持ち家)に出ると状況は一変します。家賃補助(住居手当・上限2.8万円程度)は出ますが、食費や光熱費が一般家庭と同じようにかかるため、曹の給与だけでは決して贅沢はできません。当直勤務や演習での不在が多く、配偶者のワンオペ育児負担が大きいため、共働きが難しい家庭も多いのが現実です」
また、自衛隊特有の制度として忘れてはならないのが「若年定年制」と退職金です。
自衛官の多く(曹・佐クラス)は、一般公務員のような60代ではなく、54歳〜57歳前後で定年退職を迎えます。定年時の退職金は階級によりますが、1曹・曹長クラスで約2,000万円〜2,500万円前後、佐官クラスで約2,500万円〜3,000万円程度が支給されます。さらに、早期定年に伴う年金受給開始までの収入減を補填するため、「若年定年退職給付金」が支給される仕組みが整えられています。しかし、50代半ばでの再就職活動(援護受託など)が必要になるというライフプラン上の大きなハードルが存在することも直視しなければなりません。