竹内涼真演じる田村心の運命は、あまりにも切なく、そして神聖な自己犠牲によって締めくくられた。文吾を庇い、田中正志の刃に倒れた心。かつて「殺人犯の息子」として世間の冷たい目に晒され、身を潜めるように生きてきた男が、命を賭して父の無実と家族の未来を守り抜いた瞬間だった。
心の命と引き換えに書き換えられた未来。2020年(そしてその先に続く現在)の世界で、佐野文吾は冤罪に苦しむことなく、愛する家族とともに温かな日常を送っていた。そこに生まれてきた新たな命——同じ「心」と名付けられた青年。タイトルの由来である哲学的な命題「テセウスの船(すべてのパーツが置き換わった時、それは元の船と言えるのか)」への答えが、ここに凝縮されている。元の記憶を持つ心は消え去った。しかし、彼の残した愛と意志は間違いなく新しい時代へ受け継がれており、切ない悲劇の中にも眩いばかりの希望が残される感動的な結末となった。