鬼太郎の父を語るうえで欠かせないのが、最愛の妻の存在です。同じく幽霊族の末裔である妻は、お腹に鬼太郎を宿した状態で行方不明となっていました。父が昭和30年代の人間の村「哭倉村(なぐらむら)」に潜入したのも、囚われた妻を捜し出し救出するためでした。
一部のファンから「鬼太郎の父親は人間時代があったのか?」という疑問の声が上がることがありますが、彼自身が人間だった過去は一切ありません。幽霊族という純粋な異形でありながら、行方の知れぬ妻をひたむきに想い、時に人間社会に溶け込もうと孤独に歩み続けていたのです。
哭倉村の権力闘争と怪異に巻き込まれる中で出会ったのが、戦争帰りのサラリーマン・水木でした。当初は互いに強い警戒心を抱いていたものの、幽霊族の怨念や龍賀一族の狂気に立ち向かう中で、種族の壁を越えた奇妙な友情と信頼を育んでいきます。墓場から生まれる鬼太郎をのちに拾い育てることになる水木との出会いは、まさに運命の交差点でした。