物語の主人公ポルコ・ロッソ(イタリア語で「赤い豚」の意)の本名はマルコ・パゴットです。この名前は、宮崎駿監督が若き日に敬愛し、日伊合作アニメ『名探偵ホームズ』などで親交を深めた実在のイタリア人アニメーション作家、マルコ・パゴット(現・Pagot家)へのオマージュとして名付けられた経緯があります。
スタジオジブリの公式設定資料によると、ポルコの生年月日は1893年生まれで、物語の舞台である1929年時点におけるポルコの年齢は36歳とされています。若き日はイタリア空軍のエースパイロットとしてその名を轟かせ、大尉の階級まで登りつめた英雄でした。
映画を語る上で欠かせないのが、ポルコの声を担当した名優・声優の森山周一郎さんの存在です。ジャン・ギャバンやチャールズ・ブロンソンの吹き替えで知られた森山さんの低く渋い声情は、宮崎監督が当初から「中年男の疲弊とダンディズム」を表現するために熱望したキャスティングでした。森山さんは生前の回想録や特番インタビューにおいて、「ポルコは決してかっこつけた男ではない。挫折を知る大人だからこそ出せる哀愁を意識した」と語っており、その唯一無二の演技がポルコというキャラクターに圧倒的な生命力を吹き込みました。