多くの初産婦が抱く素朴な疑問が、「狭い産道にある子宮口の開きを、医師や助産師はどうやって測っているのか」という点です。器具やメジャーを挿入していると想像する方もいますが、実際に行われているのは人差し指と中指の2本を用いた「指尖の触診」です。
日本産科婦人科学会の標準手技に基づき、内診では滅菌手袋を着用し、外陰部を消毒した上で示指と中指を膣深部へと滑らせます。熟練した医療者は、指先が子宮頸部に到達した瞬間、以下の感覚から正確な開大度を割り出します。
まず、子宮口が全く開いていない閉鎖状態から、わずかに指先が1本触れる程度を「1cm開大」と判定します。指2本の先端が無理なく入る状態が「約2〜3cm」、指2本を膣内でV字に開き、その広がり幅がどれくらいかを自身の指の寸法(指幅や関節間の距離)と照合して「4cm」「6cm」と推計していきます。そして、子宮口の縁が完全に消失し児頭が触知できるようになると「全開大(10cm)」の診断が下されます。
助産師教育の現場では、直径1cm刻みで穴が開いた特殊なシミュレーターを使い、目隠しをした状態で指先だけの感覚を研ぎ澄ます猛訓練が積まれています。つまり、内診による測定は、長年の臨床経験と解剖学的知識が結実した職人技とも呼べる高度な医療行為に他なりません。