「昔は800円台で食べられたのに、1,000円を超えて高くなった」という消費者の声をSNSなどで見かける場面が増えました。この価格変動には、外食企業単体の判断を超えた明確な業界構造の背景があります。
第一の要因は、シラスウナギ(うなぎの稚魚)の漁獲量変動と国際的な取引価格の高騰です。養殖うなぎは天然の稚魚を捕獲して育てる仕組みであるため、稚魚の豊凶が仕入れ原価に直結します。近年の資源保護規制強化やアジア圏での需要増大により、原料価格は長期的な高止まりが続いています。
第二に、輸入飼料代・加工燃料費・国際物流コストの上昇が挙げられます。すき家を運営するゼンショーホールディングスは独自の「フード業世界一」を目指すマス・マーチャンダイジング(MMD)システムを構築し、原材料の調達から加工、物流までを一気通貫で管理していますが、世界的なインフレと為替(円安)の影響を吸収し続ける中で、適正な品質維持のための価格改定が実施されました。
単なる便乗値上げではなく、三度焼き製法によるふっくらとした食感やタレの改良など、品質向上を伴った価格改定であることが、多くのリピーターを維持している理由といえます。