神野区での敗北後、最高警戒刑務所「タルタロス」の地下深くへ厳重に収監された彼でしたが、その獄中生活すらも盤上の計算通りでした。死柄木に自らの意識を混濁させ、外側から奇襲を仕掛けさせると同時に、内部のセキュリティを自律的にハッキング・撹乱して大規模脱獄を完遂。社会の信頼を完全に失墜させました。
そして群訝山荘跡地の最終決戦において、彼が切った最後の切り札が「巻き戻しによる若返り」でした。死穢八斎會の壊理から抽出・精製された個性の弾丸をドクター(殻木球大)が研究・改修し、自らの肉体に投与したのです。この劇薬は致命傷を負っても瞬時に肉体を再生させ、かつてオールマイトを追い詰めた全盛期の屈強な姿へと回帰させる驚異的な効果を発揮しました。
しかし、この力には不可逆かつ致命的な代償が存在しました。一度発動した巻き戻しは、自らの意思では停止できないという点です。ダメージを受ければ受けるほど、それを修復するために時間の巻き戻しが猛烈なスピードで加速する仕組みでした。
ホークス、エンデヴァー、常闇踏陰、ジローといったヒーローたちの捨て身の波状攻撃を受け、肉体へのダメージを重ねるたびに彼の時間は逆行。全盛期の青年から少年、幼童へと退行していきました。最終的にはパワードスーツを纏ったオールマイトの足止めを食らい、緑谷出久のもとへ辿り着いた瞬間には、もはや個性を安定発動することすらできない赤子へと縮み、存在そのものがこの世から消滅。これこそが、命を弄び続けた巨悪が迎えた客観的かつ絶対的な死亡の理由です。