シネマコンプレックス各社が料金改定に踏み切らざるを得なかった背景には、複合的なコスト要因が存在します。最大の要因として挙げられるのが、電気料金をはじめとするエネルギー価格の高騰です。
シネコンは巨大な空間を常時快適な室温に保つ空調設備や、高輝度プロジェクター、大出力音響システムを長時間稼働させるため、莫大な電力を消費します。世界的な資源高に伴う電力コストの急伸は、劇場の営業利益をダイレクトに圧迫しました。
加えて、全国的な最低賃金の引き上げに伴う人件費の上昇や、清掃・設備点検などの外部委託費の増加も重くのしかかっています。さらに、IMAXやドルビーシネマ(Dolby Cinema)、アトラクション型シアター(4DX/MX4D)など、配信サービスでは味わえない圧倒的没入感を提供するための設備投資や定期メンテナンス費用、円安による輸入上映機材・部材の調達コスト増が重なり、従来の1,800円〜1,900円という価格帯を維持することが構造的に困難となりました。