実際に自宅で送り火を執り行う際の手順と、古くから伝わるしきたりについて詳しく解説します。ホームセンターや生花店で手に入る仏具セットを用いれば、準備自体は決して難しくありません。
用意する道具は主に以下の通りです。一般的な費用相場は、一式揃えても500円〜1,500円程度で収まります。
- 焙烙(ほうろく):素焼きの平たい耐熱皿。火の粉の飛び散りを防ぎます。
- 麻がら(おがら):皮を剥いだ麻の茎。麻は古来より清浄な植物とされ、悪いものを祓う力があると信じられています。
- マッチまたはチャッカマン:点火具。
- 消火用の水を入れたバケツ:防火対策として必須です。
送り火を焚く場所と方角については、戸建て住宅の場合、玄関の門口や外のステップ付近が基本となります。方角は、ご先祖様をお送りする方向、すなわち「家の内側から外(門や道路の方向)」を向いて設置するのが伝統的な作法です。
具体的な送り火の麻がら(おがら)の燃やし方の手順は以下のステップで進めます。
- 安全な平らな地面に焙烙を置き、麻がらを手で5〜10cm程度にポキポキと折って、井桁(いげた)状やすり鉢状に積み上げます。
- 風のないタイミングを見計らい、下部から火をつけます。麻がらは繊維質で乾燥しているため、勢いよく燃え上がりますが、1〜2分程度で速やかに灰になります。
- 煙が立ち上る中、家族全員で手を合わせ、「今年のお盆も無事に過ごせました。どうぞ迷わずお帰りください」と心の中で感謝の念を捧げます。
- 完全に火が消えたことを確認し、用意していた水を少量かけて確実に消火します。
儀式を終えた後の送り火の燃え殻の処分方法にも配慮が必要です。灰や燃え殻は完全に熱が冷めたことを確認した後、新聞紙やキッチンペーパーに包み、湿らせてから各自治体のルールに従って「燃えるゴミ(可燃ゴミ)」として処分するのが現代の一般的なマナーです。以前のように庭の土に埋める家庭もありますが、都市部では可燃ゴミとして適切に処理するのが衛生的にも推奨されます。