「昔は大丈夫だったのに、ここ数年で急に朝えずくようになった」という大人の場合、単なる反射の過敏化ではなく、内科的な器質的疾患が隠されているケースを疑う必要があります。その代表格が逆流性食道炎(GERD)です。
日本消化器病学会のガイドラインでも示されている通り、加齢や生活習慣の欧米化、食道下部括約筋の弛緩によって胃酸が逆流する患者数は年々増加傾向にあります。就寝中に横たわっている間、胃から逆流した強酸性の胃液が食道上部から咽頭付近まで到達すると、喉の粘膜は持続的な化学的刺激を受けて慢性的な知覚過敏状態に陥ります。この状態のまま朝を迎えてブラッシングを行えば、ブラシの振動や泡の刺激が引き金となり、凄まじい吐き気が誘発されるのは自明の理です。
以下の表は、歯磨き時にえずく主な要因と、それぞれの症状の特徴、推奨されるアプローチを整理したものです。
このほか、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎による後鼻漏(鼻水が喉の奥へ垂れる現象)も、就寝中に喉へ痰が絡む原因となり、朝の歯磨き時に激しい反射を誘発する隠れたファクターとして見逃せません。単なる体質と過信せず、随伴する症状に目を凝らす姿勢が肝要です。