「自分は酒を一滴も飲まないから肝臓病とは無縁だ」という認識は、現代においては致命的な誤解と言わざるを得ない。いま医療界で急速に危機感が高まっているのが、非アルコール性の脂肪肝から進行する肝機能障害だ。仕事終わりにソファへ倒れ込み、Netflixの配信ドラマを夜中まで座りっぱなしで連続視聴しながらスナック菓子や炭酸飲料をつまむ――こうした現代特有の運動不足と高糖質・高脂質食の組み合わせが、肝臓に容赦なく中性脂肪を蓄積させる。
かつてNHKスペシャル「人体 神秘の巨大ネットワーク」でも描かれたように、肝臓は単独のフィルターではなく、全身の臓器とメッセージ物質を交わし合う巨大な司令塔だ。過剰な脂肪によって肝細胞が炎症を起こすと、全身の血管や代謝系にも毒素が波及していく。一般社団法人日本肝臓学会の報告でも、お酒を飲まない層における脂肪肝炎(MASH/MASLD)の有病率は年々増加しており、生活習慣病の終着駅としての肝障害が浮き彫りになっている。