心臓超音波検査で算出される「EF」とは、英語の「Ejection Fraction」の頭文字を取ったもので、日本語では左室駆出率(LVEF)と呼ばれる。心臓のメインポンプである「左心室」が、血液を全身へ送り出す際にどれだけの割合を拍出できたかを百分率(%)で示した値である。
多くの受診者が抱きがちな誤解として、「正常なら100%送り出しているはずだ」というものがある。しかし、人間の心臓の構造上、内部の血液がゼロになるまで絞り切られることはない。安静時の健全な心臓であっても、内部に溜まった血液のおよそ6割を押し出せば十分な循環が維持される仕組みになっている。
心エコーにおけるEFの計算方法は、左心室が最も膨らんだときの拡張末期容積(EDV)と、最も縮んだときの収縮末期容積(ESV)の差(1回拍出量:SV)を基準に算出される。具体的な計算式は以下の通りである。
EF(%) = (拡張末期容積 - 収縮末期容積) ÷ 拡張末期容積 × 100
臨床現場では、超音波画面上で心筋の内膜をトレースして立体的な容積を推定する「シンプソン法(Simpson法)」や、簡便な測定である「Teichholz(タイヒホルツ)法」などが用いられる。最新の循環器診療では、局所的な壁運動異常の影響を受けにくい修正シンプソン法(バイプレーン法)がゴールドスタンダードとして採用されている。