SNSや大手質問掲示板(知恵袋・コミュニティ掲示板等)に日々投稿される時短勤務者の手記を定性調査すると、制度を利用しているからこその切実な苦悩が浮き彫りになります。現場で最も頻出する声は、「業務量はフルタイム時代と変わらないのに、時間だけが切り詰められている」という過密労働の構造です。
「16時退勤のはずが、突発的なトラブルや会議が15時半から入り、周囲に頭を下げながら退社するのが精神的に辛い」「定時内に終わらない仕事を自宅に持ち帰り、子どもを寝かしつけた深夜に無給でパソコンを開いている」といった告白は枚挙にいとまがありません。法的には、育児・介護休業法第16条の8に基づき時短勤務中の残業免除(所定外労働の免除)を申請する権利が労働者に保障されています。会社に対して「契約時間外の残業をさせないこと」を正式に請求できる法的盾が存在するのです。
しかし現実の職場組織では、同僚への業務しわ寄せに対する後ろめたさや、評価権を持つ上司からの冷淡な視線といった無言の圧力が働き、制度を堂々と行使しにくい空気が漂うケースが散見されます。社会学で指摘される「アンペイド・ワーク(不払い労働)の家庭内偏重」に加え、職場内での心理的孤立が、真面目な労働者ほどメンタルヘルスを摩耗させる主因となっています。