なぜ今、これほどまでに洗練されていない映像が愛されるのか。
理由は至ってシンプルだ。観客が「複雑すぎるコンテンツ」に疲れ果てているからである。
ここ数年のハリウッド大作は、ユニバース作の前提知識、入り組んだ伏線、隙のないVFX映像が当たり前となった。映画を1本楽しむために過去作を10本復習しなければならない環境は、いつしか娯楽ではなく「勉強」のようなプレッシャーを生み出していた。そんな息苦しさを一瞬で吹き飛ばすのが、脈絡のないストーリーと強烈なキャラ立ちだ。頭を一切使わずに直感で笑える爽快感が、デジタル疲れを起こした現代人のオアシスになっている。