トムヤンクン(Tom Yum Goong / ต้มยำกุ้ง)の名称は、タイ語の単語をそのまま繋ぎ合わせた極めて合理的かつ具体的な命名構造を持っています。
タイ語の文法において、料理名は調理法や食材を順番に並べて表現します。それぞれの単語を分解すると、次のような意味を持ちます。
- トム(Tom / ต้ม):「煮る」「茹でる」という加熱調理法。
- ヤム(Yum / ยำ):「和える」「混ぜ合わせる」という意味で、タイ料理では酸味と辛味を効かせたサラダや和え物を指す言葉。
- クン(Goong / กุ้ง):「エビ(海老)」を指す名詞。
つまり、トムヤンクンとは直訳すると「エビを具材にした、辛味と酸味を混ぜ合わせた煮込みスープ」という意味になります。タイ中部を中心とする水網地帯で豊富に獲れた川エビ(オニテナガエビなど)を、自生する香味植物とともに煮込んだことが発祥とされています。
なお、末尾の食材名を変えることで多彩なバリエーションが生まれます。代表的なものが鶏肉を用いた「トムヤムガイ(Gai=鶏)」や、魚介全般を入れた「トムヤムタレー(Thale=海・魚介類)」、魚を主役にした「トムヤムプラー(Pla=魚)」です。タイ国内の食堂では、その日の気分や体調に合わせて具材を選び分けるのが一般的な食習慣となっています。