インターネット上の議論で頻繁に見られる最大の誤解は、「特定の1種類の鳥だけが恐竜の生き残りであり、他の鳥は違う」という二元論です。生物学的な厳密な定義(分岐分類学)に従えば、スズメもペンギンもハトも、世界中のすべての鳥類が等しく「獣脚類恐竜」という単系統群に含まれるメンバーです。
人間は視覚的な情報に強く影響されるため、巨大で獰猛な姿を持つヒクイドリやハシビロコウに対して「恐竜に近い」という感情的な直感を抱きがちです。しかし、進化の時計は外見の派手さとは無関係に動きます。
たとえば南米のアマゾンに生息するツメバケイは、雛の時期だけ翼に明瞭な2本の爪を持ち、樹上を這い登る行動をとるため「始祖鳥の生き残り」と喧伝されることが多々あります。しかし成鳥になると爪は退化し、遺伝子系統的には比較的新しい系統に属することが分かっています。幼鳥の爪は、恐竜の祖先形質がそのまま残ったというよりも、生息環境で生き残るために休眠していた遺伝子が再発現した「先祖返り的適応」である可能性が高いと結論づけられています。