この問題を巡っては、根拠の薄いステレオタイプや誤った認識が数多く存在します。議論を前進させるためには、こうした誤解を正しく解体する必要があります。
誤解1:「単なる本人の努力不足や怠慢(自己責任論)」
最も根強いのが自己責任論です。しかし、当事者の背景を精査すると、発達障害のグレーゾーン、機能不全家族での成育歴、就職氷河期や景気後退期におけるキャリア形成の挫折など、本人の努力の範疇を超えた構造的要因が重なっています。能力主義社会(メリトクラシー)の競争から一度脱落した者を再チャレンジさせない硬直した労働市場が、貧困と孤立を固定化させています。
誤解2:「すべての男性は男性優位社会の恩恵(男児特権)を受けている」
社会全体として見れば意思決定層に男性が多いことは事実ですが、その恩恵を享受できるのは学歴・資本・健康・コミュニケーション能力を兼ね備えた上位層に限られます。底辺に位置する単身男性は、家父長制的な恩恵を受けるどころか、「男性としての責任や義務」だけを課され、支援の輪からは弾き出されるという二重の抑圧に直面しています。