泌尿器科および外傷外科の専門医が警鐘を鳴らす通り、股間周辺は人体の中でも骨性シールドを持たない極めて無防備な急所です。電気あんまによって発生する具体的な医学的リスクは、単なる打撲の範疇を遥かに超えています。
第1のリスクは「精巣外傷(精巣破裂・精巣内血腫)」です。陰嚢内に収まる精巣は白膜と呼ばれる強靭な線維組織で覆われていますが、硬い踵で圧迫・強打されることで白膜が断裂し、外科的な緊急手術が必要となるケースがあります。処置が遅れれば虚血性壊死を招き、将来的な妊孕性(妊娠させる能力)の喪失に直結します。
第2のリスクとして挙げられるのが「精巣捻転症」の誘発です。外部からの激しい物理的振動と回転運動によって精索がねじれ、血流が遮断される急性疾患です。発症から6〜8時間以内に整復しなければ組織が不可逆的な壊死に陥るため、一刻を争う救急疾患に発展します。
さらに、陰部神経や尿道への打撃による排尿障害、尾骨・仙骨周辺の骨膜炎など、不可逆的な後遺症を残す危険性が医学的データから裏付けられています。「ただのくすぐったい遊び」という認識は、人体解剖学的な見地からは完全に誤りであると言わざるを得ません。