屈強なシルバーバックや激しいドラミングといった従来のパブリックイメージが、近年見事なまでにポジティブな方向へ転換を遂げました。この現象の根底には、視覚心理学における「認知的不協和から生じるギャップ萌え」と、人間が本能的に愛着を覚える形態学的特徴「ベビーシェマ(赤ちゃん特有の身体的特徴)」が巧みに作用しています。
人間は、本来「強面(こわもて)」である対象が小さく縮んだり、無防備な表情を見せたりした瞬間に、強い親近感と保護欲求を抱く心理特性を持っています。特に赤ちゃんゴリライラストに見られる「頭部に対して大きな丸い耳」「鼻の下が短くぽってりとした口元」「離れた小さな目」という造形は、大脳皮質の情動回路をダイレクトに刺激し、オキシトシンの分泌を促すことが視覚認知の研究でも示唆されています。
さらに、目まぐるしい情報過多に疲弊したユーザーにとって、気取らず、どこかユーモラスで無害な佇まいは、自己表現における「最高の防護壁」として機能します。自意識を誇示するスタイリッシュなアイコンよりも、あえて脱力感のあるゆるかわゴリラ手書きデザインを自身の分身に据えることで、フォロワーに対して「威圧感を与えない親しみやすさ」を演出できるのです。