裁判所職員のキャリアにおいて最大の分岐点となるのが「裁判所書記官」への登用です。裁判所事務官は法廷内外の一般的な事務や受付、送達業務などを担うのに対し、裁判所書記官は法廷に立ち会い、裁判調書の作成や訴訟記録の保管、法令に基づいた処分権限を持つ独立した専門職です。
この職責の違いは俸給表にも直接反映されます。事務官が「行政職俸給表(一)」を適用されるのに対し、書記官に任官すると「裁判所書記官俸給表」という専用の高水準な給与体系へ移行します。
裁判所事務官と裁判所書記官の年収差は、同年代で比較した場合、およそ年間50万〜120万円程度の開きが生じます。定年までの生涯賃金で見ると、約2,500万〜4,000万円以上の格差となるため、職員の多くが昇任を目指す強力な動機となっています。
ただし、書記官になるためには裁判所書記官の昇任試験(筆記試験・面接試験等)を突破し、裁判所職員総合研修所で約1年〜1年半におよぶ過酷な研修課程を修了しなければなりません。この試験倍率は地方によって4〜8倍前後に達することもあり、難関試験をくぐり抜けた者だけが手にする正当な報酬格差と言えます。