吃音症に悩む芸能人たちの現在地|公表の理由と克服への足跡を追う

吃音症に悩む芸能人たちの現在地|公表の理由と克服への足跡を追う

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言葉を生業とするプロフェッショナルが吃音を抱えているという事実は、一見すると意外に映るかもしれません。しかし、メディアの第一線で活躍する人物が、言葉の出にくさに苦しみ抜いた過去や、現在も症状と共生しながらマイクの前に立っている事例は数多く存在します。

代表的な人物のひとりが、長年にわたり朝の情報番組でメインキャスターを務めた小倉智昭氏です。小倉氏は幼少期、名前を名乗ることすら困難な重度の吃音に悩まされ、小学校時代にはからかいやいじめの対象になったと自著や対談で述懐しています。普通なら言葉を発する仕事を避けるところを、同氏は「自分をからかった周囲を見返したい」という強烈な反骨精神から、最も言葉を操るアナウンサーへの道を志しました。原稿読みの呼吸法を徹底的に分析し、息を吐きながら滑らかに最初の音を乗せる技術を独学で磨き上げたエピソードは有名です。

また、作家の重松清氏は、自身の吃音体験を投影した自伝的小説『きよしこ』を上梓し、言いたい言葉が喉につかえる少年の孤独や葛藤を繊細に描き出しました。重松氏は、吃音当事者の自助団体である「言友会」の活動や講演などでも自身の経験を語り、吃音は決して恥じるべき欠点ではなく、その人の一部であるというメッセージを発信し続けています。

さらに海を越えれば、米国のジョー・バイデン大統領も少年時代の吃音を公言している著名人のひとりです。鏡の前で詩を朗読し、息継ぎのタイミングをミリ単位で身体に染み込ませることで演説のスキルを身につけました。世界的シンガーソングライターのエド・シーラン氏も、幼少期に重い吃音を患いながら、エミネムの高速ラップを繰り返し歌い込むことで発話の流暢性を取り戻していった経緯を語っています。彼らの存在は、吃音が自己表現の限界を決定づけるものではないことを雄弁に物語っています。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。