北九州市における殺処分の現状は、過去10年で劇的な改善を見せています。かつては年間数百頭規模にのぼっていた殺処分数は、行政・市民ボランティア・獣医師会の連携によって大幅に抑制され、「健康で譲渡可能な個体の殺処分ゼロ」を継続的に達成する水準まで達しています。
しかし、統計の数字を精査すると依然として過酷な現実が横たわっています。重篤な感染症を抱えた乳幼児猫、攻撃性が極めて高く矯正困難な大型犬、不治の病に苦しむ終末期の個体など、動物福祉の観点からやむを得ず安楽死が選択されるケースはゼロにはなっていません。現場の獣医師や職員は、一頭でも多くの命を救うべく連日の夜間授乳や行動矯正トレーニングに奔走しています。
この取り組みを制度面から支えているのが、北九州市動物愛護推進協議会の活動や、地域猫活動を後押しする犬猫の不妊去勢手術助成金制度です。野良猫の無秩序な繁殖を防ぎ、一代限りの命として地域で見守る「TNR活動(捕獲・不妊手術・元の場所に戻す)」への助成は、収容数そのものを根本から減らすための最も有効な施策として機能しています。