法的なルールを理解していても、実際の路上には初心者をパニックに陥れるトラップが多数存在します。路面電車が運行する街の教習所や地元警察が繰り返し呼びかけているのが、「鉄レール特有の摩擦係数の低さ」と「右折時の死角」です。
乾いたアスファルト路面と比べ、濡れた鉄レールの上は氷上のように滑りやすくなります。雨の日に軌道敷内へ進入し、レールの上で急ブレーキや急ハンドルを切ると、ABSが作動しても制御不能に陥る危険があります。特に二輪車の場合、レールのわずかな溝(フランジウェイ)や段差にタイヤを取られ、転倒事故に至るケースが後を絶ちません。
また、交差点での右折手順も初心者が最も緊張する場面です。右折する際は、あらかじめ道路の中央(軌道敷がある場合は軌道敷の直前または軌道敷内)に寄る必要がありますが、ここでも最優先されるのは電車の運行です。バックミラーや目視で後方から路面電車が来ていないかを入念に確認し、電車の接近が見えた場合は絶対に軌道敷内で立ち往生して右折待ちをしてはいけません。電車の進路を塞ぐと激しい警笛を鳴らされるだけでなく、周囲の交通を完全に麻痺させてしまいます。