長らく「慰霊の森」として親しまれてきたこの場所が、「森のしずく公園」へと名称を改めた背景には、遺族組織「盛岡・雫石全日空機事故遺族会」の切実な決断と歴史の節目がありました。
事故から約半世紀が経過し、遺族の高齢化が進むなかで、急峻な山中に位置する広大な敷地を遺族の手だけで清掃・管理し続けることは物理的に困難となっていました。そこで遺族会は、事故から50年の節目を前にした2026年5月、敷地の維持管理を岩手県雫石町へと全面移管することを決定しました。
改称の大きな目的は二つあります。一つは、「慰霊の森」という重々しい名称が引き寄せてしまっていた「心霊スポット」としての不気味なイメージを払拭すること。もう一つは、悲痛な事故の記憶を風化させず、地域住民や次世代の訪問者が緑のなかで穏やかに命の尊さと空の安全を祈ることのできる開かれたメモリアルパークとして再定義することでした。清らかな雫(しずく)と雫石の地名を冠した公園名は、深い悲しみを乗り越えて未来へ命の尊さを手渡すための誓いでもあります。