十二鬼月の下弦クラスは、上弦の鬼たちとは異なり「数百年単位で顔ぶれが変わらない上弦」に対して「頻繁に殺されて入れ替わる消耗品」に過ぎませんでした。下弦の伍・累が那田蜘蛛山で敗死した直後、激怒した鬼舞辻無惨によって招集されたのが、ファンの間で通称「パワハラ会議」と呼ばれる無惨による一方的な粛清劇です。
思考を読まれ、反論や弁明を試みた下弦の陸・肆・参、逃走を図った下弦の弐が次々と惨殺される中、下弦の壱である魘夢だけは異質な反応を示しました。無惨の理不尽な殺戮と激しい怒りを目の当たりにして怯えるどころか、「夢見心地でございます」「他の鬼たちの断末魔を聞けて幸せでした」と恍惚の表情を浮かべたのです。
無惨の冷酷な性格は「自らに肯定的な嘘をつく者」や「弁解する者」を即座に排除しますが、魘夢が見せたのは計算されたへつらいではなく、本能的なマゾヒズムと無惨への絶対的服従でした。この底知れぬ狂気が無惨の気まぐれな嗜虐心と合致し、魘夢は唯一生き残っただけでなく、無惨の血を大量に与えられて大幅なパワーアップを遂げることとなりました。