過去の大規模水害や土砂災害の被災地調査では、住民が「極めて生命に対する危険」という警告を受け取りながらも、即座に命を守る行動へ移れなかった実態が浮き彫りになっています。被災者の手記や報道各社の現地取材において、多く寄せられたのは次のようなリアルな生の声です。
「まさか自宅の前の道路が5分で川になるとは思わなかった。『危険です』という放送を聞いてから車で避難所へ向かおうとしたが、エンジンが止まり濁流に呑まれかけた」(水害被災者の証言)
「テレビ画面に赤い文字で特別警報が出たが、外が暗すぎて一歩も出られず、2階のタンスにしがみつくしかなかった」(土砂災害経験者の手記)
SNSやネット掲示板上でも、「警戒レベル4の避難指示とレベル5の緊急安全確保の違いが直感的に分からない」「特別警報が出たから急いで避難所に行こうとしたら近隣住民に止められた」といった混乱が散見されます。心理学で指摘される「正常性バイアス(自分だけは大丈夫だと思い込む心理傾向)」と「同調バイアス」が複合的に作用し、言葉の本当の重みが現場に届いたときには物理的退路が断たれているという厳しい現実が存在します。