年頭の正月7日に行われる「白馬奏覧神事(はくばそうらんしんじ)」は、宮中の伝統を今に伝える極めて重要な神事だ。年始めに白馬(青馬)を見ると年中の邪気が祓われるとされる古俗に基づき、神前で白馬を引き回す儀式が執り行われる。この日に授与される神馬守りを求め、全国から熱心な参拝客が集う。
さらに新緑が眩しい5月、京都三大祭りの筆頭である葵祭においては、神馬の果たす役割は最高潮に達する。ヒロインである斎王代(さいおうだい)が率いる華麗な十二単の行列とともに、格式高き装束を纏った神馬が進む光景は、まるで平安絵巻がそのまま現代に蘇ったかのような錯覚を覚えるほどだ。その華やかさの裏には、日々馬の健康を支え、神事の所作を教え込む職人たちの緻密な手仕事と情熱が存在している。