ネット上のコミュニティやレビューサイトでは、映画版『トムとジェリー』に関して幾つかの誤解や議論が散見されます。その代表例を検証します。
第一に、「トムとジェリーは映画になると必ず人間の言葉を喋るのか?」という疑問です。1992年の劇場版『トムとジェリーの大冒険』では劇中で流暢に会話を交わしたことが当時賛否両論を呼びましたが、近年の長編や2021年の実写映画版では、「トムとジェリー本人は喋らず、表情と効果音・身振り手振りで感情を表現する」という初期短編アニメの黄金律が徹底して守られています。
第二に、「実写版は人間ドラマが中心で二人の出番が少ないのではないか」という懸念です。確かに人間側のキャストであるクロエ・グレース・モレッツやマイケル・ペーニャのドラマが軸に据えられていますが、画面内のあらゆる小道具や背景でトムとジェリーが常に独自のドタバタ劇を繰り広げており、画面の情報量は通常のアニメーション作品以上です。「人間パートとカートゥーンパートの調和」という点において、過去のハイブリッド映画と比較しても極めて高い完成度を誇っています。