現在進行形で進む大規模な都市再生プロジェクトは、この街の風景を根本から塗り替えようとしている。かつてコマ劇場が鎮座していた広場周辺から始まった再開発の波は、老朽化した雑居ビルの解体と集約を促し、クリーンで安全な国際観光都市としての顔を急速に整えつつある。行政とデベロッパーが描く青写真は明快だ。深夜の犯罪インフラを徹底的に排除し、家族連れや富裕層インバウンドが安心して散策できる健全なエリアへの脱皮である。
だが、劇的な浄化作戦の裏で、街の深層部には複雑な軋轢が生じている。長年この地で商売を続けてきた飲食店の店主は、急騰する賃料と画一化していく街並みに困惑の色を隠さない。安全安心という美名のもとで進行するスクラップ・アンド・ビルドは、歌舞伎町が本来内包していた猥雑なエネルギーや、社会の周縁に生きる人々を包摂してきた寛容さを削ぎ落としつつある。街の生態系は、いま重大な分岐点に立たされている。