性別が判明する妊娠中期までの間、妊婦の間で必ずと言っていいほど盛り上がるのが「性別ジンクス」です。古今東西、民間伝承として語り継がれてきた俗説の数々について、現代医学のメスを入れてみましょう。
代表的なジンクスには以下のようなものがあります:
- お腹の出方:前に向かって尖るように突き出すと男の子、横に丸く広がると女の子。
- つわりの重さ:つわりがひどく吐き気が強いと女の子、比較的軽ければ男の子。
- 食べ物の好み:塩辛いものや肉類・ファストフードを食べたくなると男の子、甘いものやフルーツを欲すると女の子。
- 妊婦の顔つき:目つきがきつく険しくなると男の子、表情が柔らかく穏やかになると女の子。
- 中国式産み分けカレンダー:受胎月と母親の数え年から統計的に算出する数秘術。
これらのジンクスに関して、日本産科婦人科学会所属の専門医らは「科学的・生理学的な根拠は一切存在しない」と明言しています。例えば「お腹の出方」は胎児の性別ではなく、妊婦の骨盤の広さや深さ、腹筋の筋力、胎盤が付着している位置(前壁か後壁か)、そして経産婦か初産婦かという母体側の解剖学的要因によって物理的に決まります。また、「つわりの重さ」は母体のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)ホルモンに対する感受性の個人差によるものであり、胎児の性別ホルモンが母体の嘔気中枢を直接操作することはありません。
中国式カレンダーも含め、いかなるジンクスも二者択一である以上、理論上の的中率は自然確率と同じく約50%に収束します。「ジンクス通りだった」という声がネット上に溢れるのは、的中した人間が印象強く発信する一方で、外れた人間は単に忘れ去るという「確証バイアス」が生み出した心理的錯覚に過ぎません。これらはあくまで家族間のコミュニケーションを円滑にする余興・エンターテインメントとして割り切って楽しむ姿勢が求められます。