インターネット上では「通常炊飯でもち米を炊き、そのまま釜の中で麺棒やすりこぎを使って潰せば餅ができる」といったライフハックが数多く紹介されています。手軽に見えるこの手法には、家電の構造上無視できない重大な事故リスクが潜んでいます。
大手電機メーカー各社が発行する取扱説明書では、もち米のみを使った通常炊飯や、粘り気の強い食材を密閉状態で再加熱する行為を「禁止事項」として明記しています。もち米に含まれる高粘度のデンプン(アミロペクチン)が加熱時に激しく発泡し、内蓋の調圧弁や蒸気排出ルートを完全に塞いでしまうためです。
蒸気口が塞がれた状態で加熱が続くと、内釜の圧力が異常に高まり、蓋が突然吹き飛んだり高温の粘液が周囲に飛び散って深刻な火傷を負う危険性があります。温度センサーがデンプンの膜で覆われることで空焚き状態を感知できず、基盤がショートして一発で故障に至るケースも報告されています。便利さの代償として数万円の炊飯器を破損させるリスクを冒すのは、決して賢明な選択とはいえません。