盛り上がったニキビ跡の治療は、2026年の診療ガイドラインにおいても「保険適用の標準治療」から開始することが大原則です。病変の硬さ、赤みの強さ、隆起の高さに応じて、複数の治療法が使い分けられます。
1. ステロイド局所注射(ケナコルト注射)
隆起した病変部の中に直接、トリアムシノロン(ステロイド)を微量注入する治療法です。コラーゲンの過剰増殖を強力に抑え、血管新生を阻害することで、数日から数週間でしこりを急速に平坦化させます。保険適用で1回あたり数百円〜千数百円程度(3割負担時)と経済的負担も少ない点が強みです。ただし、注入量が多すぎると周囲の皮膚が菲薄化(凹み)したり、毛細血管拡張が残ったりするため、熟練した医師による精密な注入深度のコントロールが求められます。
2. ステロイド外用テープ(ドレニゾンテープ・エクラープラスター)
注射の痛みに耐えられない部位や、小さなしこりに対して処方される貼付剤です。病変の形に合わせて小さくハサミで切り取り、患部に密着させて持続的に薬剤を浸透させます。テープ自体が皮膚にかかる引っ張り張力を物理的に保護する役割も兼ね備えており、継続使用によって徐々に赤みと硬さを和らげます。
3. 抗アレルギー内服薬「リザベン(トラニラスト)」の効果
トラニラストは、肥満細胞からの化学伝達物質遊離を抑制し、線維芽細胞によるコラーゲン合成を阻害する内服薬です。特にケロイド体質がある患者や、広範囲に多発しているケースで保険処方されます。即効性はありませんが、2〜3ヶ月継続服用することで新たな隆起の発生を予防し、自覚症状である痒みや痛みを緩和します。
4. 美容皮膚科領域でのレーザー・高周波治療(自費診療)
保険診療で盛り上がりを平坦化した後、残ってしまった頑固な「赤み」や「質感の乱れ」に対しては自費診療のレーザーが活躍します。血管のヘモグロビンに反応するVビーム(パルスダイレーザー)を照射して赤みを消退させる手法や、微細な熱凝固を与えるフラクショナルレーザー、ニードルRF(高周波)を用いて組織の再構築を促す治療が確立されています。