古沢脚本の最大の凄みは、完璧に計算し尽くされた緻密なロジックと、感情を激しく揺さぶるエモーショナルな熱量の同居にある。代表作『リーガル・ハイ』で見せた怒涛の台詞回しは、正義と悪の境界線を曖昧にし、視聴者に「本当の価値とは何か」を問いかけた。弁護士ドラマという古典的なジャンルを極上のエンタメに昇華させた手腕は圧巻の一言に尽きる。
さらに、その構成術の極致とも言えるのが『コンフィデンスマンJP』だ。伏線が伏線を呼び、最後の1秒まで誰が誰を騙しているのか分からない多重構造のシナリオ。騙しのカタルシスを与えるだけでなく、登場人物たちの人間味あふれる滑稽さと愛おしさを描き出すことで、リピート視聴を余儀なくさせる中毒性を生み出している。緻密なパズルを組み立てるような劇的プロットでありながら、血の通った人間ドラマとして着地させる手腕こそ、彼が鬼才と称される所以だ。