SNSやネット掲示板を検索すると、「ジンジャーエールビール」に関して「邪道」「まずい」「ビールへの冒涜」といった強い言葉が散見され、時折ファンの間で小規模な炎上騒動へと発展することがあります。こうした噂の真相を丁寧に紐解くと、いくつかの歴史的・文化的なすれ違いが存在していることがわかります。
第一に、日本の伝統的なビール文化における「生ビール絶対主義」の残滓です。昭和から平成にかけて定着した「乾杯はとりあえず生」「ビールはそのまま喉越しで飲むもの」という固定観念を持つ層からすると、加糖炭酸飲料で希釈する行為そのものが敬遠の対象と映る傾向がありました。しかし、カクテルとしてのシャンディガフの起源は19世紀半ばの英国ロンドンに遡り、もともとはエールビールをジンジャービアで割ってパブで喉を潤した正統派の大衆文化です。決して近年の安易な思いつきで生まれたレシピではありません。
第二に、居酒屋で提供される低品質な割材による「まずい体験」の拡散です。炭酸の抜けたサーバー用シロップと量産型ピルスナーを適当に混ぜた結果、甘ったるさだけが際立ち、ビールのキレもジンジャーの爽快感も死んでしまった状態を飲んだ消費者が、ネット上でネガティブなレビューを発信していたケースが少なくありません。良質な素材同士を適切な比率で組み合わせれば、極めて高次元なマリアージュが成立します。