「食の変態」と呼ばれる人々の特徴は、一般的な費用対効果(コスパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)の概念が完全に崩壊している点にあります。彼らが現場で見せる執念には、目を見張るものがあります。
例えば、ある熟成肉の名手は、肉庫の湿度と風速を毎日24時間体制で監視し、1g単位の水分蒸発量をノートに記録し続けています。また、出汁の抽出に命を懸ける料理人は、仕込み水の硬度を微細に調整するためだけに全国の湧水を年間50カ所以上巡り、数十リットル単位で自ら運搬する労力を厭いません。
さらに、客側の「変態」も負けてはいません。年間600食以上の外食をこなし、可処分所得の70%以上を飲食と遠征費に充てるコレクターや、特定のジビエを食べるためだけに狩猟免許を取得し、自ら山に入って生態系から研究する愛好家まで存在します。彼らを突き動かすのは「まだ見ぬ極上の味に出会いたい」という純粋無垢な狂気です。