オランダフットボールの歴史を語る上で、レジェンドであるヨハン・クライフの存在を外すことはできない。彼が提唱した「トータルフットボール」の概念は、単なる戦術の枠を超え、この国のサッカー文化そのものの骨格となった。ポジションチェンジを繰り返しながらピッチのスペースを支配する思想は、現代フットボールの基盤となっている。
その象徴的な育成機関が、アヤックス・アムステルダムのアカデミーだ。下部組織の段階から「ピッチを広く使い、ボールを保持して主導権を握る」スタイルが叩き込まれる。どんなポジションの選手であっても、高い足元の技術と瞬発的な戦術判断が求められる。この育成システムこそが、ポジションの概念を超越してプレイできる万能型のアスリートを次々と世界へ送り出す原動力にほかならない。