油屋には、日々の疲れを癒やすために日本全国から個性豊かな「八百万(やおよろず)の神々」が湯治に訪れます。画面の端々に登場する神々にも細やかな民俗学的背景が組み込まれています。
- オオトリ様:孵化できなかったヒヨコたちの神様。黄色く丸い巨体で寄り添い合って風呂に浸かる姿が愛され、ジブリグッズでも屈指の人気を誇ります。
- おしら様:大根のような風貌をした農業・養蚕・食物の神様。千尋がエレベーターに乗る際、その巨体で周囲から隠して庇ってくれる心優しい守護神です。
- 春日様(かすがさま):奈良の春日大社に由来する神々。雅な冠を被り、紙垂(しで)のついた衣装をまとった影のような行列として描かれます。
- 河の神(オクサレ様):千尋の初仕事で接客した巨大なヘドロの塊。自転車や不法投棄ゴミを取り除いたことで本来の壮麗な姿を取り戻し、千尋に重要なアイテム「苦団子」を授けました。
これらの神々と従業員、そして支配者である湯婆婆の関係性は、契約社会の厳罰性と、自然への畏怖が同居する日本独特の精神世界を体現しています。