激動の家族史において、ひと際まばゆい光を放っているのが長男である市川團子 (5代目)の目覚ましい飛躍だ。幼い頃から父と共に伝統の世界へ飛び込み、数々の試練を乗り越えてきた若き後継者は、いまや歌舞伎の次代を担う花形役者へと急成長を遂げている。
一門の危機的状況において急遽代役を務め上げ、劇場の空気を一変させた圧巻のパフォーマンスは、澤瀉屋の正統なDNAが彼の中に息づいていることを証明した。すらりとした立ち姿、瑞々しい感性、そして観客を惹きつける華。父が背負った苦悩と執念は、確実に息子へと受け継がれ、結晶化している。
新たなパートナーとの間に生まれた異母弟の存在も含め、複雑な家族構造を抱えながらも、父と息子の絆は舞台を通じてより強固なものへと昇華されている。