SNS上でのトラブルを回避するために「顔にスタンプを貼っているから安心」「目元に薄くモザイクをかけたから大丈夫」と考えている保護者は少なくありません。しかし、セキュリティの専門的見地から言えば、それは極めて脆弱な気休めに過ぎません。
現在指摘されている子供写真モザイク特定リスクは深刻です。近年の画像復元AIは、周辺のピクセルデータや陰影、輪郭の連続性から、モザイク処理された領域を高精度に推測・再構成することが可能です。特に半透明のスタンプや粗いドットモザイクは、最新の画像処理フィルターを通すことで輪郭や表情が容易に復元されてしまいます。
さらに見落とされがちなのが、Exif情報位置特定対策に関する誤解です。大手SNS(X、Instagram、TikTokなど)では、写真投稿時に画像ファイルに付随するExif情報(GPSの緯度経度、撮影日時、カメラ機種情報)が自動的に消去(スクラビング)される仕様が標準化されています。これをもって「ネットに上げても位置情報は漏れない」と信じ込んでいるユーザーが多数存在します。
しかし、個人ブログ、WordPressで構築された育児記録サイト、あるいは保護者同士のチャットツールやオープンチャットでは、Exif情報が保持されたままオリジナルデータが送受信されるケースが頻繁に見られます。また、SNS側がExifを削除しても、画像内の風景(電柱に記載された地番プレート、マンホールの固有模様、背後に映り込んだ地域特有のゴミ収集所看板)は一切削除されません。システム的なメタデータが消えていても、視覚的なメタデータによって居場所は暴かれてしまうのです。