関西出身者が上京した際、最も高い確率でカルチャーショックを受けるのが「なおす」「めばちこ」「蚊にかまれる」という3大フレーズです。本人たちにとっては生まれてからずっと使い続けてきた基本語彙であるため、方言だと指摘されて初めて衝撃を受けるパターンが後を絶ちません。
職場で「この書類、引き出しになおしておいて」と頼まれた関東出身の後輩が、「どこも壊れていませんが……」と困惑する場面は、上京あるあるの筆頭格です。関西における「なおす」は「元の場所へ片付ける・収納する」を意味しますが、共通語では「修理する・正しく改める」という意味に限定されます。古語の「本来あるべき状態に戻す」というニュアンスが関西でそのまま残り、片付けの意味として受け継がれました。
また、目のまぶたにできる急性化膿性炎症(麦粒腫)を、関西では「めばちこ」と呼びます。目がパチパチすることや、形状が「蜂の子」に似ていることが語源とされますが、関東では一般的に「ものもらい」と呼ばれます。京都や滋賀では「めいぼ」、北海道や東北では「めっぱ」と呼ばれるなど、この疾患名は全国的にも地域差が非常に大きい特徴があります。
さらに夏の風物詩である虫刺されについても、西日本では「蚊にかまれる」と表現するのが主流です。東日本では「蚊に刺される」または「蚊に食われる」が一般的であり、関東人からすると「蚊は針で刺すものであって噛まない」という理屈から強烈な違和感を抱かれます。