モデル宿の筆頭として必ず名が挙がるのが、群馬県・四万温泉の「積善館」と、長野県・渋温泉の「歴史の宿 金具屋」だ。積善館の前に架かる赤い「慶雲橋」は、まさに千尋が息を止めて渡ったあの橋そのもの。一方、夜闇に浮かび上がる金具屋の木造4階建て「斉月楼」は、神々が夜な夜な集う油屋の妖艶な雰囲気を放つ。
しかし、2026年の今、これらの宿はかつてない混雑に直面している。世界的な旅行ブームの再燃により、予約は数ヶ月先まで埋まる状態が定着した。宿側は、宿泊客のプライバシーと静寂を守るため、日帰り観光客の立ち入りエリアを制限するなど、厳しい防衛策を講じざるを得なくなっている。憧れの地を守るための、苦渋の決断だ。