電気通信主任技術者の試験を主催する日本データ通信協会の統計データを確認すると、直近の電気通信主任技術者 合格率はおおむね20%台前半から30%前後を推移しています。宅建士(約15〜17%)よりやや高く、行政書士(約10〜12%)より緩やかに見えるこの数字に、多くの受験者が罠として足元をすくわれます。
表面的な合格率と実際の体感難易度に大きな乖離が生まれる背景には、受験者層の特殊性があります。受験者の大半はNTTグループや大手通信キャリア、SIer、通信建設会社に所属する現役エンジニアであり、実務経験者や理工系出身者が母集団を形成しています。素人が記念受験するケースが極めて少ないにもかかわらず、7割以上の実務家が不合格になるという事実こそが、この試験のハードルの高さを物語っています。
さらに電気通信主任技術者 難しすぎる 理由の核心は、2021年度(令和3年度)の試験制度再編以降も色濃く残る「専門性の深さと幅広さのアンバランス」にあります。試験は「電気通信システム」「専門的能力(伝送交換設備または線路設備)」「伝送交換設備及び設備管理(または線路設備及び設備管理)」「法規」の構成から再編され、一部科目の統合が進んだものの、依然として問われる知識量は膨大です。
多くの受験者が挫折する主な原因は以下の3点に集約されます。
第1に、計算問題の難解さと出題範囲の規格外の広さです。伝送工学におけるデシベル計算、光ファイバの波長分散、トラヒック理論(アーラン計算)といった高度な数学・物理の知識に加え、サーバの仮想化技術、最新の暗号化プロトコル、さらには受変電設備や非常用発電機、データセンターの空調管理といったファシリティ分野まで網羅的に出題されます。
第2に、市販テキストの圧倒的な少なさです。宅建やITパスポートのように洗練されたフルカラーの参考書は存在せず、学習者の多くは学会誌レベルの専門書や、日本データ通信協会発行の専門テキスト、過去問解説集を頼りに手探りで勉強を進めざるを得ません。
第3に、「過去問丸暗記の通用しにくさ」です。後述するように、問題作成側が過去の焼き増しを警戒し、最新の国際標準化動向や規格改定を盛り込んだ新傾向問題を毎年一定割合投入してくるため、本質を理解していない受験生は足切りライン(各科目60%)の直前で涙を呑むことになります。