ネット上の情報では「メープルシロップとはちみつ、結局どちらが最強の健康甘味料なのか」という二項対立が語られがちですが、専門的な栄養学的見地から見れば、それぞれが保有するファイトケミカルの役割が根本から異なります。
「はちみつは加熱すると栄養が完全に死滅する」という俗説がありますが、これは半分正しく、半分誤りです。確かに熱に弱いビタミンCや一部の生酵素は60℃以上の加熱で失活しますが、はちみつが持つ主要な糖質エネルギーや抗菌性のグルコン酸、ミネラル類は加熱しても安定して残存します。喉のイガイガや風邪の初期症状には非加熱の生はちみつが推奨されますが、料理の照りやコク出しには加熱調理でも十分にその恩恵を享受できます。
また、「メープルシロップはただの樹液の砂糖水」というのも大きな誤解です。近年のカナダ・ロードアイランド大学などの研究により、メープルシロップには特有のポリフェノール「ケベコール(Quebecol)」をはじめとする67種類以上の抗酸化物質が含まれていることが突き止められています。活性酸素の除去や抗炎症作用において、ベリー類に匹敵するポテンシャルを秘めています。