京都平安ホテルの母体は、教職員らの福祉向上を目的に運営されてきた公立学校共済組合宿泊施設です。組合員のみならず一般観光客にも広く門戸を開き、京都御苑・蛤御門のすぐ目の前という抜群の立地とリーズナブルな価格設定で、長年高い稼働率を誇っていました。それにもかかわらず、なぜ営業終了という重い決断が下されたのでしょうか。
最大の京都平安ホテル閉館理由として挙げられるのが、築年数の経過に伴う建物の深刻な老朽化と耐震性の問題です。本館の竣工から半世紀近くが経過し、大規模な耐震改修工事や配管・空調などの全面刷新には数十億円規模の莫大な投資が必要と試算されていました。
さらに、全国の共済組合宿泊施設を巡る経営環境の激変が追い討ちをかけました。少子高齢化に伴う共済組合員の減少や、公的組織による宿泊事業への締め付け、さらにはパンデミックによる長期的なインバウンド・観光需要の蒸発が決定打となりました。公費や組合員の掛け金を原資とする組織において、将来的な巨額投資の回収は極めて困難と判断され、苦渋の選択として閉館の幕が引かれたのです。