ネット上の口コミやレビューを精査すると、「イチョウを見に行ったが葉が散ってハゲており失敗だった」という否定的な投稿が散見されます。しかし、これはイチョウ鑑賞における最大の誤解であり、現場を知る愛好家から見れば最も惜しい見方です。
イチョウの鑑賞美には「頭上の黄金期」と「足元の絨毯期」という2つの絶頂期が存在します。並木の木々に葉が密集している時期は確かに空を覆う黄金のアーチが見事ですが、風によって一斉に葉が舞い落ち、地面一面が隙間なく敷き詰められた落葉直後こそ、最もドラマチックな「黄金の絨毯」が完成します。
実際に現場を訪れると、散り始めの段階から数日間限定で現れるこの黄色いカーペットの上を歩く瞬間にこそ、最大の歓声が上がっています。雨風の直後はぬかるみが発生しやすいものの、晴天が続いた後の落葉期は、地面からの光の照り返しによって人物写真が格段に明るく美しく写るという光学的なメリットも存在します。頭上のボリュームだけに捉われることなく、「足元の積層度」に目を向けることこそが、昭和記念公園の深遠な秋を味わい尽くす秘訣です。