峰不二子という稀代のヒロインは、テレビシリーズや映画、スピンオフの歴史とともに担当声優が移行してきました。一般的に知られるメインキャストに加え、パイロットフィルムや劇場用特別作品で演じたキャストを含めると、不二子の声の系譜は実に奥深い広がりを持っています。
最も初期に声を吹き込んだのは、テレビ放送前の1969年に制作されたパイロットフィルム版(シネマスコープ版)で不二子を演じた増山江威子でした。しかし、1971年に放送が始まったテレビ第1シリーズでは、劇団現代人劇場出身の実力派女優・声優であった二階堂有希子が初代として抜擢されます。二階堂が演じた不二子は、ハードボイルドな大人の女怪盗であり、ルパンと対等に渡り合うドライな質感が際立っていました。
その後、1977年のテレビ第2シリーズ(赤ジャケット版)のスタートに伴い、増山江威子が正式に2代目レギュラーとして着任します。増山は2010年まで約33年間にわたり不二子を担当し、「ルパ〜ン♡」と甘える吐息混じりの可憐な演技で、日本中が認知する決定的な不二子像を創り上げました。
また、1987年のOVAおよび劇場公開作『ルパン三世 風魔一族の陰謀』では、制作上の全キャスト刷新方針により小山茉美が不二子を担当。透明感と凛とした強さを併せ持つ演技で、従来の甘美な路線とは異なるシャープな不二子を好演しました。
そして2011年、日本テレビ系のテレビスペシャル『血の刻印 〜永遠のMermaid〜』より、現任となる3代目・沢城みゆきが就任しました。翌2012年には沢城を主演に据えた『LUPIN the Third -峰不二子という女-』が放送され、妖艶さとミステリアスな影を兼ね備えた令和時代の不二子像を不動のものにしています。