ロッツォ・ハグベアの正体は、かつて少女デイジーにとってかけがえのない「一番のお気に入り」だったぬいぐるみでした。デイジーはどこへ行くにもロッツォを腕に抱き、深い愛情を注いでいました。しかし、ある日のピクニックの帰り道、デイジーが車の後部座席で眠りに落ちた隙に、ロッツォは道端の草むらへ置き去りにされてしまいます。
取り残されたのはロッツォだけでなく、不気味な赤ん坊人形のビッグ・ベイビーと、道化師の人形チャックルズの3体でした。ロッツォは持ち主の愛を微塵も疑わず、過酷な風雨に耐え、ヒッチハイクを繰り返しながら長い旅路の果てにようやくデイジーの家の窓辺へと辿り着きます。しかし、そこで目撃した光景が彼の心を粉々に破壊しました。
窓の向こうでデイジーが嬉しそうに抱きしめていたのは、自分と寸分違わぬ新しいロッツォ・ハグベアだったのです。少女にとって自分は唯一無二の相棒ではなく、「壊れたり失くしたりしても即座に買い直せる、単なる大量生産品」に過ぎなかったという残酷な現実でした。自著や制作陣のインタビューでも語られている通り、この瞬間にロッツォの心は完全に破綻し、「おもちゃなど最初から誰にも愛されていない。子供の愛は偽物であり、おもちゃは使い捨てのゴミだ」という極端な虚無主義へと転落していったのです。