姫野と早川アキの関係は、単なる先輩と後輩、あるいは仕事上のバディという枠組みを遥かに超えた特別な絆で結ばれていました。
新米デビルハンターとして配属されてきたアキに対し、当初は「またすぐ死ぬ新人が来た」と冷めた視線を向けていた姫野。しかし、銃の悪魔への復讐に燃え、どれほどボロボロになっても前を向き続けるアキの頑なな姿に触れるうち、彼女の感情は「死んでほしくない」「この人だけは守りたい」という深い情愛へと変化していきます。アキに喫煙を教えたのも姫野であり、煙草を吸う束の間の時間だけが、過酷な現実から逃れられる2人の共有領域でした。
姫野は幾度となくアキに「公安をやめて民間に転職しよう」と持ちかけていました。アキが復讐のために命を縮めていく呪いの力(カース)を使うことを誰よりも嫌がり、自分が代わりに傷つく道を選び続けたのです。
そして物語後半、第38話の沢渡アカネ戦において、彼女が遺した最大の伏線が回収されます。ゴーストを操る沢渡の前に追い詰められたアキの前に、ゴーストの手から一本の煙草が差し出されます。そこには、生前に姫野がアキのために取っておいた煙草に書かれていた文字――「easy revenge!(気楽に復讐を!)」が刻まれていました。
ゴーストは視覚を持たず、相手の「恐怖心」を感知して攻撃する悪魔です。姫野の煙草のメッセージを思い出したアキは、死の恐怖と復讐の執着を捨て去り、恐怖心を完全にゼロにすることでゴーストの頭上を歩き、見事に討伐を果たします。肉体が滅びた後もなお、姫野は自らが遺した言葉と煙草によって、愛するアキを絶体絶命の危機から救い出したのです。